21.こだわりに対して
こだわりの店という宣伝文があるように、こだわりは好ましいことも多いのですが、何か一つのことに貼りついたようで他に目がいかなくなり、同じことがぐるぐる空回りして、自分でもどうしていいかわからない状況が、PWSの人たち、特に思春期頃になった人たちにみられることがあります。その原因はおそらく、前に述べた許容量のサイズに加え、脳全体の成長に対して脳内の物質(セロトニンなど)の代謝が追いつかないためのようです。こだわりが非常に強くなると、本人もとてもつらいでしょうし、無理に止めさせようとするとかえって悪化しますから、薬をつかうことも考えましょう。たとえば、SSRI剤という薬などがつかえますが、人によって効き方も、有効量も違うので、一人ひとり、どんな薬が適しているか確かめながら決めていく必要があります。数種類の薬を少量づつというのが合う人もいるようです。
薬で行動をコントロールすることに抵抗を感じる親ごさんもおられると思いますが、こだわりをやめたくてもできずに、つらい思いをしているのはご本人ですから、薬を使って楽になれば、そのほうがいいのではないでしょうか。そのためにも、精神科や心療内科専門の先生がPWSの特性を知ってくださり、その人その人に適した治療をしていただけることを願っています。
ただし、幼い子の場合は副作用が出るおそれがありますので、薬はつかいたくないですし、子どもの時期は適切なかかわりだけでも改善しやすいようです。もちろん、成人であっても薬に頼ってはなりません。こだわりを引きおこす原因を見つけて、解消または緩和するくふうや、認知行動療法のような精神心理的治療も、服薬と同時に必要です。
(文責 長谷川知子 … 自身の経験や医学文献、親ごさんたちからの情報、それにPWSA-USAのMedical Alert を参考にしています)
