11.感覚は生きるための基礎

 感覚は生きていくための基礎になるものです。とくに幼児期は五感(視・聴・嗅・味・触)が育つ時期でもあります。基本的な感覚が発達していないと、状況判断もしにくくなるので、自信がなくなり、不安のなかで生きることになります。子どもは家族と生活していくなかで感覚を伝えられ自然におぼえていくのですが、何らかの感覚が弱い場合は補ってあげる必要があります。また、学業は感覚という土台の上に築かれるものです。たとえば、生活のなかでおぼえていく「量感覚」ができていないと、数字も生きてきませんから、一時的には数字や計算を覚えたとしても、やがては、ザルに水を汲むがごとく消え去ってしまうでしょう。これは一般の子でも、早期教育として勉強だけを教えるときの弊害でもあります。

 PWSの人は一部の感覚で弱いものがあり、それがさまざまな問題の原因にもなりますので、彼らの弱い点を知って対応を考える必要があります。

 外気温がよくわからない人もいます。その場合、着る服が選びにくいことがあります。また、お風呂の温度が冷たすぎたり熱すぎたりしても気にしないことがありますから、ひとりでお風呂に入るときは適温にしているかどうかみてあげてください。

 痛みが感じにくい人はかなりいます。 注射が痛くなければ治療しやすいかもしれませんが、ケガに気づかなかったり、腹痛や頭痛に気づかなかったりすると手遅れにもなりかねません。そのことを知って、様子がおかしいときは、「もしかして…」と思うことが命を救うかもしれません。痛みを感じにくい人が痛がるときは危険信号です。原因を早急に調べてもらい、すぐに治療につなげなくてはなりません。

 痛みが感じにくくても、かゆみには敏感な人も多く、それがかきむしりの引き金にもなります。

(文責 長谷川知子 … 自身の経験や医学文献、親ごさんたちからの情報、それにPWSA-USAのMedical Alert を参考にしています)